Life with Football

「サッカーは私の生活の一部であり、私自身である。」

#01 ア式蹴球部女子創設者 成瀬明

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Life with Footballの記念すべき第1回は、私たちア式蹴球部女子の創設者である成瀬明さんにお話を伺いました。サッカーをする環境がないから諦めるのではなく、女子サッカー部を創ってしまった成瀬さん。彼女はどのようにサッカーと関わり、どのような想いで東大のア式蹴球部女子を創設したのでしょうか?

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成瀬明

東京大学ア式蹴球部女子の創設者。「なる」「なるさん」という愛称で親しまれている。 富山県出身で幼い頃からサッカーと共に育った。現在はア式女子が合同で活動するクラブチーム、文京LBレディースに所属し、持ち前のスピードとヘディングを活かしてサイドハーフとして活躍している。

ーサッカーは生まれた頃からとお聞きしましたが、なるさんはどんなサッカー少女だったのでしょうか?

父は保健体育の先生でサッカー部の顧問でしたし、家族みんながサッカー人という家で育ちました。双子の兄と一緒にサッカークラブに入り、高校まで毎日サッカーという日々でした。

 

(全日本少年サッカー選手権の決勝に女子として初めて出場し、双子の兄と共に新聞にも取り上げられた。)

ー本当にサッカー漬けだったんですね!それでは大学でもサッカーを続けると決めていたんですか?

いや、サッカーは高校で満足していて、大学では続けるつもりはありませんでした。男子の中でやっていたので、スピードや体力で負けてしまうことに嫌気がさしていたのもあります。 フットサルサークルに入ったり、ラクロス部に仮入部したり、一人旅やバイトをしたり、ワンダーフォーゲル部に入ったり、入学してからは色々なことにチャレンジしました。 3年生の時に女子の部活に入りたいと思って、東大は当時あまり選択肢がなかったので他大学を色々探して、他大生OKだった東京学芸大学の女子サッカー部に入部しました。

ー結局サッカー部に!サッカー熱が再燃したという感じですかね?

というよりも、女子だけで体育会で、というのが初めての経験でとてもよかった!男子の中でプレーしていた時は、楽しむのは二の次になってしまっていたんですけど、学芸の練習に参加した時、純粋にサッカーが楽しくて仕方なくて。即入部を決めました。その夏には、東京都リーグには出場させていただきました。しかし、他大生だった私は、関カレ(関東大学女子サッカーリーグ)にはプレーヤーとして出場できずに、4審や本部で歯がゆい思いをしました。自分も関カレに出たい。大学女子サッカーのリーグでプレーしたい。その思いを叶えるためには、東大に女子サッカー部を作るしかない、と。

 

ーそうしてア式蹴球部女子が誕生するわけですね!

はい。でも最初は部活の作り方がわからなくて。所属していた文学部の教務課に相談したところ体育チームに掛け合ってくれて、運動会からア式蹴球部の男子部GMの末吉さんに繋いでもらいました。最初は女子サッカー部を独立して作るイメージだったんですが、それにはサークルとしての活動実績が数年必要とのことで、ア式蹴球部の女子部部員とするのがいいのではないかというお話をいただきました。 そこから部員集めが始まり、同じクラスでフットサルサークルに所属していた岡本真実、岡本と同じフットサルサークルのチームメイト藤井朋子、男子部のスタッフ経験のある大多和愛、東大院生で早稲田大学ア式蹴球部女子部に所属していた戸枝美咲、そして創部して初めての新入生である大坪佳夏子、田中周が入部を決めてくれました。それでも11人揃わず、監督の福田さんが慶應女子ソッカー部から岡野史恵、竹内瑞穂を呼んで下さいました。

 

ーたくさんの方々の協力があってア式女子は誕生したんですね。合同で活動している文京LBレディースについても教えてください。

文京区の方が東大に女子サッカー部があると聞きつけてくれたことがきっかけです。文京区(JFAの所在地)に女子チームは1つもなかったからこそ、区を上げて応援してくださりました。現在も区の施設で練習ができるのは文京区の方々のおかげです。 また、創部当初練習に混ぜて欲しいと連絡をくれた中高生が多かったのですが、ア式女子は大学の部活として活動していたので断らざるを得ませんでした。それが文京LBレディースができたことで一緒に活動できるようになった。そんな中高生からの声もクラブ創設の理由の一つです。 ただ、私は当時ア式女子のことで精一杯だったので、文京LBレディースの創設に関しては監督の福田さんが中心となって進めてくださいました。

ー中高生や社会人の方、ママさんとも一緒に活動できる本当に素敵なクラブですよね。なるさんのサッカー好きはお仕事にも繋がっているとお聞きしました。

はい。サッカーが好きすぎて、サッカー用品を扱うスポーツメーカーに就職しました。自分が使う道具、特にスパイクにまつわるストーリーを知ることができるのが楽しい。開発秘話など情報を集めているときに、道具ってすごいな!と思います。アスリートが新記録を出すための道具を作ってるんだな、人類の記録を少しでも伸ばすために開発をしてるんだな、と思うとものすごく面白いですね。 また、スポーツ好きが集まっていて、人にも恵まれています。サッカー、ラグビー、野球の現役。怪我をした時には親身になって心配してくれたり、本当に温かいです。何よりも、サッカーが好きでけっこう本気の趣味として取り組んでいる、という私の気持ちや姿勢にまわりの人が応援なり尊重してくれる雰囲気が大好きです。

ーそのようにお仕事をしながらも、なるさんは文京LBレディースでプレーを続けていますね。プレーヤーとして見るこのクラブはどうですか?

文京LBレディースという存在があるから、ざわちんと私は部では代が被ってないけど出会うことができます。後輩たちをずっと感じられるのもありがたいし、私も頑張らないとなって思えます。 住んでるところと仕事するところとサッカーするところが同じ文京区圏内というのもすごくありがたい。近所に文京のメンバーや、東大に通う後輩たちがいて自転車や徒歩で気軽に会えるのが嬉しいです。

 

ー私たちも気軽になるさんのような先輩とお話できてとても嬉しいです!最後に一言お願いできますか?

この企画、本当に面白いと思います!東大OG組織さつき会を通して出会ったア式女子理事の大里さん、応援に来てくださる保護者の方やお世話になっている文京区の方、サッカー協会の方、慶應女子ソッカー部、初年度に入部はしなかったけど関カレに出てくれた東大生メンバー、東大の他の部活の選手たち、文京LBレディースの選手、歴代の部員、創部当初ボランティアで指導して下さったコーチの方、交流のある高校女子サッカーチームなどなど、挙げたらキリがないくらいですが、色んな人の話を多角的に聞いてみたいと思いました。 こんな素敵な企画を卒論テーマにすれば良かった〜当時の所属は日本史だったし、日本の女子サッカー史として笑 これからも応援してます!

ーありがとうございます!本日はありがとうございました。

Interviewer

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ざわちん

3年生。背番号6のMF。高校ではバスケットボール部に所属し、大学からサッカーを始める。今年度主将。