Life with Football

「サッカーって誰のものでもない」

#07 フリーランスとしてスポーツに関わる仕事 土海真帆

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第7回のLife with Footballは、女性×サッカーの新たな魅力に目をつけ、アクティブに活動する土海真帆さんにインタビュー。幼少期から学生時代、そして社会人1年目の経験から土海さんが見てきたものとは?

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土海真帆

サッカーを中心に、フリーランスとしてスポーツに関わる仕事に携わっている。小学生から中学生までアメリカ在住、その後大学では4年生を休学し、サッカー留学を学ぶためにスペインへ留学。アメリカ・スペインで目にした女性のサッカーカルチャーに刺激を受け、現在は日本における「サッカーと女性」に関するイメージに対して新たなことができないか模索中。

− 現在されているお仕事について教えてください。

今は、アメリカ・日本に拠点があるスポーツコンサルティング会社、日本のサッカーチーム、スペインのサッカー戦術メディア編集部と、計3社に関わっています。

アメリカのスポーツビジネス会社では、自社のSNSと海外サッカークラブのSNS運用やスポーツビジネスのリサーチ等をしています。今後は女子サッカーに関わるような取り組みもできたらと考えています。

サッカーチームでは、主にチームマネジメント活動をしています。練習や試合に参加し、選手たちの練習環境を整えることをメインに活動しています。他にもチームが行なっている様々な取り組みに対し、プロジェクトごとに携わらせていただいています。

スペインのサッカー戦術メディア編集部では、主にSNS運用や記事作成など、メディアの編集全般を行っています。こちらでは大学時代スペインに留学していた時からお世話になっています。

 

−大学時代にスペイン留学をされていたとのことですが、そのきっかけや目的を教えてください。

 ちょうど私が大学2年生に入る頃から、父の仕事で家族がスペインに駐在することになったのが最初のきっかけです。当初は、私は日本の大学に通っていたので卒業して日本で就職活動をと考えていました。ただ、就職活動が始まる大学3年生の夏頃から、「サッカー留学に関わる仕事がしたい」という夢を持って大学に入った自分を思い出して・・笑。忘れていたわけではないんですが、初心に帰ろうとモヤモヤしていたときに、母から「休学して、スペインへ一回来てみれば?」と声をかけてもらえたんです。スペインは、サッカーでもとても有名なので「どんぴしゃ〜」と思って大学4年生を休学してスペインに渡りました。

この休学が私のキャリアを考える上では、大きく価値観を変えてくれたと思います。

 

 

−「サッカー留学」に関心を持たれていたのですね。それは、ご自身のアメリカでの経験がきっかけになっているのですか?

そうですね。小学生から中学生にかけて父の仕事の都合でアメリカに住み、そこで女子サッカーを経験したことが大きいです。サッカーでは人とのコミュニケーションって結構大切じゃないですか?言語力が求められ、コミュニケーション力も求められる。この時点で私は大変だったのですが、もし海外に飛び出してサッカーが上手くなりたい人はこれに加えて生活力まで求められるのか!と思って笑

 

−どうしてそのような考えに至ったのですか

「日本のサッカーが強くなるため必要なことってなんだろう?」って考えたことがあったんです。きっかけは、ドイツで行われた2011年女子サッカーワールドカップです。日本が優勝した大会です。

日本では同年に東日本大震災が起こっていて、なでしこジャパンの優勝は日本へ元気をもたらしてくれたと思っています。

そして私自身も、思春期ということがあり現地の学校を楽しめてなくてあまり上手くいってなかった時期で。そんな時に、W杯でアメリカと日本が決勝戦で戦うぞ!っていう学校やサッカーチームでの大きな話題ができて、また友達ともコミュニケーションを取るきっかけになったんです。そこから、チームメイトとも仲良くなっていって・・。

私アメリカに行かなきゃいけないことがすごく嫌だったんですけど、あのワールドカップとサッカーのおかげで楽しい4年間だったと思い直すことができたんです。

それで、「サッカーってすごい!人をハッピーにするじゃん!もっと日本のサッカー全体が強くなれば日本ってすごいハッピーになるじゃん!」って単純思考になったときに、「日本のサッカーが強くなるため必要なことってなんだろう?」って考えて思いついたのが、海外に挑戦する日本人選手が増えている状態・環境に左右されずにサッカーをきちんと海外で挑戦できている状態があることだったんです。

 

−なるほど、それでスペインには、「スペインサッカー留学」を学びに留学されたのですね。実際にスペインで見てみてどうでしたか?

スペインには、日本から挑戦に来ている若い選手がたくさんいたので、実際に現状を知ることができて勉強になりました。

特に最近では、日本人女子サッカー選手の留学がものすごい勢いで増えていますね。確か、スペイン女子サッカーリーグの海外選手の割合は、日本人が一番多いんじゃなかったかな?

私はバルセロナに住んでいたのですが、当時バルセロナのエスパニョールでプレーしていた日本人女性選手とお友達になれたり、他の選手ともFC バルセロナフェメニーノの試合を見に行ったときに、「女子サッカー選手めっちゃかっけー!!!」ってすごいワクワクしたんです笑

−好奇心旺盛な土海さんらしいですね(笑)。それからどんなことに興味を持たれたのですか?

女子サッカー選手たちに対して、「この人たちみたいになりたい」と思わされました。

それは、アメリカでサッカーをしていた時に、女子サッカー選手の先輩たちに対して思ったような感覚だったのですが。

サッカー選手としてというか、「こんなかっこいい女性になりたい」と思いました。

こう思ったきっかけとして、選手の表現力が1つあると思います。特にアメリカやヨーロッパでは、フィールドを“ショーステージ”として捉え、髪をしっかり巻いたり、編み込みをしたり、メイクをしたり、選手たちは自分を表現する場として楽しんでいるように思いました。それでいて、フィジカルもしっかり整っているし、サッカーの試合はサッカーの試合で面白く。サッカーって男性的なものって思われがちだと思うのですが、「サッカーって誰のものでもないよな」と気持ちよくなりました笑

 

−「サッカーって誰のものでもないよな」面白いですね。確かに、サッカー=男性スポーツといったイメージは強いかもしれません。魅せ方によっては、サッカーをやっていない女の子がサッカーに興味を持つこともありうるということですね。

そうなんです、そこでまたヨーロッパを中心にめちゃくちゃ可愛いサッカーカルチャーインスタグラムとかを見つけちゃって笑

イングランド発祥のSeasonというアカウントとUEFAが運営しているWe Play Strongというアカウントなのですが、とにかくかわいい!!

season_zineのアカウントはこちらから

we play strongのアカウントはこちらから

 

−なるほど。私も女子サッカープレーヤーの1人としてアンテナを張っていこうと思いました。スペインから日本に帰ってきた今はどのような活動をされていますか?

私自身、日本でのサッカー人生が小学生止まりであまりサッカーに関わる友人や知り合いがいないので、今はいろんな人にまずは会ってみようといった段階です。スペインから帰国後、男子サッカーチームにチームマネージャーといった形で参加させていただいているので、(日本の)サッカーの世界は少しずつ分かってきたと思います。ただ、日本人女性のサッカーの世界に対してまだまだ無知なので、そこも合わせて勉強中です。今少しずつ取り組んでいることとして、サッカーを組み合わせた女の子に刺さるようなイベントを模索中です。

私はデザインセンスに欠けるので、リポストだけなのですが海外の可愛いと思ったサッカーカルチャーをまとめたインスタグラムは運用しています笑

土海さんのインスタグラムアカウントはこちら

また、海外で活躍する日本人女子サッカー選手と日本のサッカーチームのエキシビジョンマッチの運営も試みています。海外で活躍している選手を日本にいる人にもっと知ってもらいたい、日本にいる女子サッカープレーヤーに海外という選択肢も知ってもらいたい、という想いを込めての活動です。

2021年秋からWEリーグが始まるので、今後もっと日本の女子サッカーが盛り上がって欲しいなと思っていま。本屋さんに足を運んだときに、女子サッカーに関わる情報が男子サッカーと同じように扱われている状態になったら嬉しいですね。

 

−最後に、土海さんが目指す日本女子サッカーの姿を教えてください!

サッカーは、男性的なスポーツなだけではないんだよ!ということを伝えたいです。サッカーカルチャーのファッションでももっと可愛く見せることで、女の子にとっても関心を持ちたいと思える文化を作っていきたいです。サッカーは男性のものとして捉えられがちですが、魅せ方次第では、女性にとってもワクワクするようなものが作れると思います。そうすることで、今までサッカーに興味がなかった女の子たちが、「女子サッカー可愛いな、いいな」と興味を持ってくれるくらいに女子サッカーの魅力を広げられたら嬉しいです!

 

−本日はありがとうございました!

Interviewer

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おぐ

4年生。背番号10のMF。小3でサッカーを始め、高校時一度サッカーから離れるものの、大学でサッカーを再開するために東大受験を決める。一昨年主将を務めた。